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受賞おめでとうございます

 「古典に親しむ会」は、平成7年度に長年の活発な活動が認められ、読書推進運動協議会第28回優良読書グループ表彰を受けております。 また、多年にわたる古典文学の普及に貢献したことにより、平成14年度野辺地町文化賞奨励賞を受賞。日頃の活発な学習活動をとおして地域の読書普及に努めたことにより平成15年度青森県読書団体連絡協議会表彰を受賞しております。 

 
上野 真一
  
 古典に親しむ会は、当初、野辺地読書会の名称で、昭和59年5月23日発足、同年6月14日を第1回として毎月1回の例会を行い、現在、126回を終わった。現代文を対象とする読書会ができたことにより、平成2年4月から名称を「古典に親しむ会」と改め現在に至った。
 当初、数人の短歌、川柳のグループの人達が集まって話し合っているうち、現代文や翻訳物でも多くの作品に触れているが、一番縁遠く殆んどといってもいいくらい読んでいないのは古典である。なんとか古典を読んでみたいものだということに期せずして意見がまとまった。それでは、どんな方法でやろうかということになり、古典を読み進む場合、もっとも必要なことは、よちよち歩きの子供の手を引いてくれる人を探すこと、幸い町内に高校、高専の国語の先生を長くつとめた方が居られたので早速訪ねてお願いしたところ快く引き受けてくれ、現在まで10年余り古典の学習に多角的に指導を続けてもらっている。
 最初は「奥の細道」を取り上げた。これは、2年余り26回を費やした。会員の一人は、50CCバイクを日光まで搬送し、芭蕉のたどった道筋を象潟まで走ったというそんなこともあった。最後に俳諧に触れなければ芭蕉を勉強したことにはならないでしょうという講師のすすめで俳諧に挑戦した。発句から脇句、平句、揚句、月の座、花の座、恋の座などなど数多いきまりがある。短詩型をやっている二人が選ばれて頭をひねりひねり進めた。きまりにあてはめて作り上げることは容易ではなく、一度書いたものを中途で変更し、作り直すことも何度かあり、漸々のことで表18句、裏18句の歌仙を巻くことができた。
 「奥の細道」が終わった段階で次はなにをやろうかということになった。いずれは「源氏物語」を採り上げるつもりだったが、いきなり源氏に移るには躊躇があり、なにか適当なものを何編かやってからと思い講師の先生に相談したところ源氏をやってみなさいとのことで、それではと肝を決めて「源氏物語」に取り組むことにした。進める方法としては、通読ではなく、巻々の主要部分を抜粋し、それをつなぎ合せて物語の全体像を浮かび上がらせることにした。先ず、テキスト作りからはじめた。
 古典全集から講師の指導で学習する部分をコピーし、本文と注釈を揃えて整理し、それを再びコピーにかけ見やすいものに作った。1回分がB5版で少ないもので10ページ前後から多いのは50数ページになった。これに費やした月数の例を上げると夕顔4ヶ月、須磨5ヶ月、明石3ヶ月、玉鬘5ヶ月、真木5ヶ月、若菜上下で8ヶ月、浮舟5ヶ月、手習は11ヶ月を要した。会員の中には謡曲をたしなむ人もあり夕顔では半蔀、夕顔、葵では葵の上、玉鬘では玉鬘など実演も折り込んだ。また、夕顔と須磨では当時の言葉による朗読をレコードで聞いた。は行音やその他現在の発音との違いをはじめて知った。また、源氏香の話、源氏物語絵巻のスライド、アニメ源氏物語の上映、さらに、瀬戸内寂聴と俵万智の対談「遠くて近い紫式部」、武原はんの地唄舞「葵の上」のビデオなども見た。また、講師が源氏物語の舞台となった土地におもむいて写したスライドの映写なども併せ物語の理解を深めてきた。
 いま、講師から二つの宿題を出されている。一つは、源氏を学習したという証として源氏物語54帖の巻名を巻の順番に覚えること、二つ目は桐壺冒頭の一筋と須磨の同様の部分の暗誦である。いずれも退職後の人々が大部分を占める集りなので、なかなか難儀なことだが努力してクリアしなければならないことである。
 私達は、はしなくも、「源氏物語」と向き合う機会を得て、この華麗変転の世界に少しでも触れることができたことを心からよろこんでいる。
 
(平成7年刊行野辺地町立図書館新築開館10周年記念誌「燈火」より)