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家読(うちどく)講演会

 「子ども読書活動推進計画」(平成20年3月策定)及び「野辺地町教育振興計画」(平成21年3月策定)により野辺地町では、毎月20日を「家族ふれあい読書デー」「ふれあい教育の日」に制定しています。この日は、家族の対話や触れ合いを深める日として「テレビやゲームは控えよう!」「家族でたくさん話をしよう!」「家族で本を読んでみよう!」「本の読み聞かせをしてみよう!」などの提案がされています。
 特に、11月20日は語呂合わせで「いいふれあい」とし、年に一度、11月にイベントを開催することになりました。昨年度は、開催時期が遅れましたが、2010年が国民読書年であること、家読(うちどく)の趣旨が、野辺地町の目指すところと一致していることから、家読推進プロジェクト代表の佐川二亮氏を講師にお迎えして、平成22年2月27日(土)に家読(うちどく)講演会を開催しました。講演会には185名の参加があり、アンケートにもたくさん感想を書いて下さいました。その講演会とアンケートの内容をご紹介します。
 
   ※講演会チラシ  ※講演会開催要項   
       
家読のテーマソング「こころつないで~read and taik」をバイオリンクラブ「キラキラ星」のみなさんにオープニングで演奏をしていただきました。   「家読(うちどく)で読みニケーション~読書で家族の
     絆を深める~」と題し、講演していただきました。

【講演会要旨】

①朝の読書の効果
  朝の読書は、20年前、千葉県の女子高校で誕生したものである。この高校で素晴らしい読書効果が出ていたため、全国へ広げる運動を始めた。その当時、学校では、始業時間になっても席につかない。1時間目は授業にならない学校が数多くあった。子ども達の心が荒れていた。それが、朝の授業前の10分間の読書で子ども達が、落ち着いて授業を受けることができる効果がみられた。また、「遅刻が減った」「イジメがなくなった」「学校崩壊がなくなった」などの報告もある。こう言った効果により朝読を始める学校が全国的に広がった。この時代は、「今の子どもは、本なんか読まない。」 というのが定説であり、社会問題でもあった。 その子ども達に、なぜ朝の読書がすんなりと受け入れらたかというと、「好きな本を毎日ただ読むだけ」という強制をしない、自由な読書方法のためである。
 青森県は、朝の読書の先進県である。現在、全国では、3万校の学校、1000万人くらいの子ども達が、朝の読書を行っている。
 今、本当に本を読まなくなっているのは、大人である。電車に乗ると、大人達は携帯ばかりやっている。

②朝の読書と学力向上
  朝の読書を積極的に始めた秋田県は、学力でトップをいっている。秋田県で朝の読書を行っている学校は、小学校94%、中学校90%、高校は58%で高い実施率となっている。全国学力テストにより秋田県以外にも朝の読書の実施率の高い県は、学力も高いことが証明された。
 子ども達一人一人の長い人生の中で、読書に親しんだ子と、まったく読まなかった子では、20年、30年後に感性や言葉の使い方が全然ちがってくる。これは、統計的に実証されている。
 「朝の読書」の実施率が低いのは、大阪や東京など都市圏である。読書よりも学習が優先されるので、朝の読書はやらず、朝学習をやっているところが多い。
   広島大学大学院教育学研究科、山崎博敏教授が3回の全国学力テストの結果を統計的に、専門的に調べた結果、「読書好きな児童は、正答率が高い。」「家や図書館で、普段1日30分以上読書する児童は、正答率が高い。」「テレビゲームやインターネットをする時間が短い児童の正答率は高い。」「子どもが学校の出来事を家に帰ってから親と話をする子どもは学力も良い。」と言うことがわかった。さらに、「親が読書や人間的思考が強い家庭の子どもの学力は高かった。」ということが、学力テストの結果から立証できた。 
 秋田県の好成績は、安定した家庭の地域に支えられながら、落ち着いて学習に取組んだ結果である。さらに、秋田の子ども達は、朝の読書で読解力を身につけている。
    朝の読書は、3万校で行われるようになったが、毎日実施している学校は少ない。3割く らいしかない。さすがに、1週間に1回、10分だけでは、足りな過ぎる。

③朝読から家読へ
  ここ11・2年くらいに、自殺者が、ものすごく増えている。その中で、特に問題なのは、児童・生徒、子どもの自殺が年々増えている事である。年間、1000人近くの子ども達が自殺に追い込まれている。その理由の一つに、イジメの問題がある。家庭の中で、子ども に心配事や悩みがないか、親が気づけば、勝手に自殺するような事はないと思う。
   最近、子ども達が家に帰ると、自分の部屋に閉じこもって、テレビゲームやメールをやっている。電子メディアの遊びが、ものすごく面白い。それに夢中になって、満足に家族と話もしないで、自分の部屋に行ってしまう。だから、親達も自分の子どもがよくわからない。これが日本の家族の現状である。
   内閣府の実施した「低年齢少年の生活と意識に関する調査」で、子どもの7割は毎日、心配事や悩みを持って生活している。その悩みを知っているお母さんは10.4%しかいなかった。お父さんに至っては、3.6%しかいなかった。子どもの実態を知らない親が9割もいる。
   以前、 「子どもがどんな傾向の本を読むか。」を調査した。感動する本を子ども達も選んでいる。感動した本は、「今日、学校で読んだこの本とても感動したの。お母さんに、その本を紹介するね。」と言った、その感動を親に話したいという欲求が出てくる。その時には、「やめて、ちょっと今忙しいから後にして。」なんて言わずに、「それ、どう言った本なの?」とか「どういうところに感動したの?」、「今度あななたがその本読み終わったらお母さんに貸して。」と言うように会話を続けると、会話が弾むし、子どもとのコミュニケーションのきっかけとなる。そう言う子ども達は成績も良いと、学校から聞いている。
 自分の子どもがイジメにあっているとかが分からないと言うのは、満足に子どもと話をしていないから何を考えているのか分からない。何かあったら、学校とか、第三者の責任にしないで、自分の子どもは、やはり、まず親が気にかけてあげることが大事。子ども達ともっと話をする家庭作りをした方が良いと思う。
 それでは、どんな話をするかという事であるが、色んな方法があると思う。本にこだわる必要はないが、本でやるのが一番継続ができ、良い感じがする。色んな本を題材にして、子どもとお母さん達の良い会話が出来ているという報告を学校からも受けている。
 朝読は全国的に広まった。今は、家庭の問題が、社会の中で大きな問題となっている。家庭で家族の会話ができて、コミュニケーションが深まれば、家族の絆も強まるだろう。」と言う考えから、家族の絆作りを目指して、「家読」運動を行うことにした。

④子ども達が考えた家読のやり方
  現在、朝読により読書の好きな子どもがいっぱいいる。想像力、表現力が豊かで、たくましく、活発に読書をしている子がたくさん。朝の読書をやっている学校が壁にぶつかっている時、「どうしら良いか?」と尋ねられた。そんな時は、「自分達の学校の子ども達に意見を聞け。」言ってきた。そこで、朝読は、自分達大人が考えたものであるから、家読は、子ども達の知恵を借り、アイディアを出してもらう。いっそ、この運動を組み立ててもらったらどうかと言うことになった。
 家読の読み方であるが、「いえどく」は硬いし、英語のハウス、建物って感じがする。家庭の中で、家族をイメージする響きとして「うちどく」という名称にした。
  茨城県の大子町は、自分の出身の福島県矢祭町の隣の町である。ここの人たちに協力を依頼して、第1回子ども会議を開催した。大子の子ども達は、読書の町だけあって、普段からとても読書をしている。アイデア、言葉、創造性が豊かであった。子ども達が考えた家読のやり方は、①家族で同じ本を読もう②読んだ本で話そう③感想ノートを作ろう④自分のペースで読もう⑤家庭文庫を作ろうであった。
 1冊の本を10人が読むと10人が皆、違う感想を言う。これが本の面白いところ。本を読んだ後、話し合う。これが家族の会話作りのきっかけになり、家族のコミュニケーションが深まり、家族の絆を強くする。
 朝の読書では、感想文は書く必要がない。読みっぱなしでいいと言ってきた。感想ノートは、子ども達が考えたことである。感想文を書くことで、家族みなの共通の心が通じあう。そればかりか、5年、10年、20年後、この感想文はいつ誰がどんな本を読んで、どんなことを書いたか、家族の思い出話にまた出てくる。家族全員で読んだ本は、家庭文庫を作って残しておく良いと思う。

④家読先進地区、茨城県大子町と佐賀県伊万里市の事例をDVDで紹介
    大子町は、①「読書を楽しむ人があふれる町づくり」②「読書を通じて心豊かさを育てる町づくり」③「読書の素晴らしさを全国に発信する町づくち」を目指し、「読書のまち」宣言をした。佐賀県では、伊万里市の市長さんが、「思いやりの心ある町づくり」を第1の政策として取組んできた。家庭での会話不足がイジメや不登校につながっている。イジメをなくすためには、家庭の会話をふやすことが最高の効果である。その具体的な活動として家読を行った。毎月1日を家読の日と決めて、1週間に1度テレビを消す、ノーテレビの日にした。伊万里市の黒川小学校は家読運動モデル校になっている。

④家読に取組んでいる県、町の紹介

 大子町が平成19年の6月から家読に取組んですぐに、同じ時期に伊万里市が家読宣言をおこなった。その後、青森県の板柳町も家読に取組んでいくと聞き、板柳町を訪れた。町では、「我町は日本一美味しくて、安全なリンゴ作りを目指している。リンゴは人が作り、社会が作るもの。そのために人の心が豊かでなくてなはならない。そのために、人の心を豊かに育む読書推進を、大事な事業として、政策に位置づけたい。」ということを話してくれた。板柳は、その時から毎月30日は「見ない、やらない。」っていう語呂あわせをして、毎月30日にテレビを見ない日、家読をやる日に決めた。
 最近は、県レベルの取組もかなり出てきた。「朝の読書」の推進県の1つである島根県は積極的で、「子ども読書県しまね」宣言をしている。岩手県も島根と同じ時期に、「本の扉を開けよう 朝読・家読・みんなで読書」というフレーズで「いわて子ども読書プラン2009」を作成した。
 岐阜県可児市は、家読10(テン)をやっている。①毎日家族で10分以上読書をしましょう。②1ヶ月に家族合わせて、10冊以上の本を読みましょう。③1年間に一人10冊以上本を読みましょう。と言う取組である。 湯布院の図書館では2008年の図書貸し出し数が1年間に50万冊を超えた。図書館の開館以来最高の記録だった。これは家読の成果だということを言っている。

④家読には絵本を
 家読に一番おすすめは、絵本である。絵本は物語が短いから家族全員が全部目を通すのに、それほど日数がかからない。場合によれば一人で10分から15分あれば絵本1冊が読める。絵本によっては、自分達が生きていく上で大事な事、気持ちの問題、人の問題、自然の問題などを扱っているものがあり、家族で話し合うのに適している。
 絵本は、3度楽しむことができる。1度目は、自分が生まれた時にお母さんが買ってくれた、読み聞かせをしてくれた絵本を好きになる。2度目は自分が結婚して、子どもに読んであげる喜び。3度目は自分自身のための楽しみ。

⑤子ども司書制度について
 
家読は子ども達が考えたもの。だから家読は子ども達を活動の中心にしなくてはいけない。子ども達が主役の読書運動をどうやったらできるのかが家読運動の1つの課題。
 私のふるさと、福島県矢祭町にもったいない図書館がある。町民に「何が欲しいか?」を尋ねたところ、「図書館が欲しい。」という声が圧倒的に多かった。財政が厳しいので武道館を改造して図書館にした。ところが、図書館を改造したら、それだけで予算がなくなったため、本が買えなくなった。図書館作っても本がないと意味がない。それで、インターネットとかで全国的に「各家庭で余っている本があったら送ってくれませんか?」と呼びかけをした。そしたら、65万冊も集まった。
  もったいない図書館は、家読に力を入れている。子ども達も図書館との時間を作る方法をいろいろ考えだした。「子ども司書」という制度である。昨年は、14人の子ども達が取り組んで、つい最近、第1回目の認定式を行った。これは、全国で初めてである。子ども達が、認定証を作って、町長名で出した。胸につけるカード式の認定証である。14人の子ども達全員が無事終了した。これからは、子ども達が学校の中で、あるいは、家庭や地域の中、もったいない図書館の中で、子ども達の学んできた事を読書アドバイザーになって、町の読書推進を担ってほしいと思い、子ども司書制度を実験的に始めた。ところが、国家資格的なものを何で、矢祭町で行うんだってクレームがきた。ゆくゆくは、子ども司書を全国に広めていって、子ども司書の資格を国家資格として、国に要請して作ればいいんだ。と思っている。
 それで、今度は、図書館長さんから子ども司書として、委嘱状を交付してもらった。本の貸し出しとか子ども達に一切活動をしてもらう。子ども達を主体的にいかに運動の中に取り込んでいくか、これが、一番大事な事だと思う。

⑤座右の書のすすめ
 自分の座右の書のような一冊を読む事をされるといいと思う。図書館のでもいいが、できれば、自分個人の書として持った方が良い。
 自分の好きな絵本が1冊ある。かもしかの親子の話で、いもとようこさんの「月の夜に」という絵本である。
 月の夜にぼくはうまれた。ふんばって、ふんばって、転びながらやっと3,000回目にぼくは立ち上がる。それからは、お母さんのおっぱいを飲みながら、お母さんの後をついて、お母さんの真似をしながら、生きるすべを学んでいく。ある程度、自分で色々出来るようになったある月の夜に、お母さんが、「一人で生きていくということは、辛い事が沢山あるだろう。挫ける時もあるだろ。そういう時は無理はしないで生きて行くんだよ。」と諭しながら、子どもをはねのける。子どもを一人で戦い、生きていけるようにとの母心であるが、人間も同じだと思う。動物の場合は、子離れの儀式でもある。

⑥家読まとめ
 家読というのは、目的ではなく、1つの過程の手段。通過である。家読で何をするかというのは、家読で親子のコミュニケーションをやるための控え室にすることである。方法は、色々ある。家族で団欒が作れる。家族で会話作りが出来る。そう言った方法を、それぞれの家庭で工夫して作るといいと思う。子どもにとって、読書はなぜ必要なのか。それは、読書が人間として根源的なものであるからである。家読は、家庭と学校と地域が共生し、連携していくことにより定着する。これから家読をやることが、自分達の家族の問題、それが地域の問題を考えていくことになる。
 島根県では、現代社会における孤独死や若者の困窮の問題に対して、経済力を高め、読書活動を推進する対策をとっている。
 読書は、人と共に長いスパンの中で、考えなければならない1つの方法である。
 
【アンケート紹介】
  アンケートには、102名のみなさんが回答して下さいました。
 その中から、みなさんの感想をいくつか紹介いたします。

  ○子供に読書をすすめるが、自分達大人はなかなか時間がとれず、読むことが少なくなっ
  てきていました。10分でも子供と一緒に読んでみようかな、それから広げられればと思   
  いました。とても楽しく聞かせていただきました。ありがとうございました。

  ○大人の方が本を読まないのでは…。という佐川先生の言葉にドキッとしました。子ども
   に本を読みなさないとはよく言いますが、自分自身が読んでいるからというと、あまり読
   んでいないのが現状です、家読を行い、子どものために、自分のために、家族のために
   すてき時間を持ちたいと思います。今日は、本当にありがとうございました。
 

  ○子供が多く、下の子が小さいのも有り、家読に抵抗がありましたが、今日の講演を聴
  き、家庭なりの家読を見つけようと思いました。育児に忙しく、上の子の話をあまり聞い
  ていなかった事を反省しつつ、家族皆のコミュニケーションの為に主人にも協力をお願
  いして、早速始めてみます。

  ○読書が、読解力、理解力、集中力などを高め、心をおちつかせるのに良いということが
  あらためてわかりました。いつもは私が絵本を読んであげていますが、字がよめる子に
  も読んでもらったりするのもおもしろいかも…。と思いました。

  ○朝読、家読を町全体で取り組む重要性を感じた。読書の幅広い効果を多くの方々に
  知らせたい。特に青少年のための必要性を訴えていきたい。

 ○子育てのヒントを得ることができたらと…。と参加しましたが、とても参考になりまし
    た。子供と共感する事が増えるのは、お互いの理解につながると思います。いい本と
    出会える楽しみが増えました、図書館に通う回数が増えそうです。

○図書館で本を借りる習慣は、やっとできてきましたが、「家読」にはもう少しといったとこ
  ろです。夜寝る前の読み聞かせは続いているので、次は家族全員で本を読む時間を
   ぜひ作りたいです。感想ノートも面白そうですね。読んだ本の記録になるので、作って
   みたいと思います。

  ○家読は家族のコミュニケーションづくりだということを強く感じました。保護者の理解も
    必要だと思います。大人の読書ばなれもひとつの課題だと思います。

  ○娘が通う小学校では、月1回親子読書の日があります。昔からあるお話の本や、最近
  の新しい本、いろんな本を一緒に読んでいいスキンシップになっています。今日の佐川
  先生のお話を聞いて、もっと子供といろんな本を読んで、それについていろんな話をした
  いなぁと思いました。

     ○家族のコミュニケーションツールとして家読が必要だとわかった。母親だけでなく父親
  の理解と協力が必要。

○いいお話をたくさん聞かせていただきました。ありがとうございました。大人の絵本、
 大人が絵本を読む。大いに進めてください。学校でPTA・参観日等で大いに父兄に
 PRして下さい。子育てお母さんを刺激して下さい。

   ○オープニング「こころつないで」キラキラ星の歌・バイオリンが心をいやしてくれた。テー
        マソングの歌詞も大変いい。家読により家族のきずなが深まってきたこと。家族の会話
        がふえた。「継続の力」の大切さ、習慣化することの大切さがわかった。たった10分間
        であるが、本気で取り組むこと地域、学校、行政と一緒に取り組むことの大切さがわか
        った。伊万里市の活動の様子がよくわかり大変よかった。他町村へのよびかけがよか
        った。企画に感謝します。

                  
                          
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